論文が掲載されました

この度、私の論文がCirculation reportsという雑誌に掲載されました。

タイトルは" One-Week Postoperative Valvuloarterial Impedance as a Predictor of Left Ventricular Hypertrophy Regression 1 Year After Surgical Aortic Valve Replacement in Patients With Aortic Stenosis " というもので、大動脈弁狭窄症の術後の患者様の左室肥大退縮について論じたものです。

大動脈弁狭窄症という左室の出口が狭くなる病気では、大きな圧力の負荷が左室にかかるため、左室心筋はおのずと肥大します。

左室肥大は予後を不良にさせることは周知のことです。

手術によって出口の狭さが解除されれば左室肥大も改善傾向に向かいますが、中には左室肥大がなかなか良くならない場合もあり、そこに関わる因子を調べています。

通常人工弁置換術後の血行動態の評価は人工弁に関わるパラメータで評価するものですが、左室にかかる総合的な後負荷(人工弁による負荷+血管からの負荷)で見てみたらどうか、と投げかけています。

この論文が掲載されるまで約5年ほどかかりました。長かったです。

論文を作成するにあたり、初めてデータの収集から携わらせていただきました。

5年前の夏、休日に一人で病棟に行って、夕方までデータをPCにちまちま打ち込んでいたのが懐かしいです。

そこから原田 顕治先生に御指導いただきながら論文を作成しましたが、作成中に似たような論文が発表されてしまうというキツい展開もありました(笑)。

何とか差別化できる点を見つけ練り直しましたが、いかんせん後ろ向き研究(過去に発生した事象やデータを基に、原因や関連性を探る研究のこと)だったため、希望した雑誌からはじかれたりもしました。

前向き研究(研究開始時点から将来に向かってデータを収集し、特定の要因が将来の結果にどのように影響するかを観察する研究のこと)でないと、インパクトファクタが高い雑誌に掲載されるのは難しいことを、改めて実感しました。

そうしていくつかの雑誌を当たり、あれこれマイナーチェンジしてようやく掲載に至ったわけです。

私は現在開業医師として臨床の現場に立っており、論文を作成するのも多分これが最後になるのではないかと思います。

臨床において医師が患者様の治療にあたって駆使する知識は、数多くの研究によって得られたものです。

そういった科学的な研究の果実によって、私たち医療者の仕事は成立しています。

そしてよりよい治療が今も模索され、創造されています。

科学という大海原のような膨大な知識の集合体に、貢献できたとまではとても思えませんが、砂浜にそっと小石をひとつ置くことができたかな、と思いたいです(笑)。

脇内科クリニック     脇 広昂

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