麻疹の流行について

3月になり、コロナウイルス・インフルエンザウイルス感染がだいぶ落ち着いてきました。

一方で麻疹の流行が、注意喚起されています。

下の図は国立感染症研究所で把握されている、ここ8年間の日本の麻疹発生状況です。

麻疹は2019年をピークに、コロナ禍での密回避で2020年~2022年はほぼ見られなくなっていますが、2023年からまた増えてきています。

といっても2023年で全国で数十人ほどであり、コロナウイルスやインフルエンザウイルスの感染と比べれば非常に小さい規模です。

しかしこれはあくまで保健所に届けられた数であり、実際はもっと多いでしょう。

また上図のように、2024年3月の時点で2023年の総数を上回る勢いであり、今後さらに流行していく可能性が危惧されます。

麻疹ウイルスは空気感染で人から人へ伝播していき、その感染力は非常に強く、免疫を持っていない人ならほぼ100%発症すると言われています。(感染力はインフルエンザウイルスの比ではありません。)

感染すると10~12日の潜伏期間を経て発症し、 発熱、咳、鼻水、のどの痛みなど、風邪に似た症状が2~4日続きます。

その後口の中の頬粘膜に白いぶつぶつ(コプリック斑:下図)ができ、一旦解熱するも、1-2日後に再び39度以上の高熱と全身に発疹ができます。

麻疹ウイルスは現在小児期に2回の予防接種が行われています。

2回の予防接種を受けているか、もしくは1度感染を経験をしている方は、基本的に一生免疫が続くと言われています。

もし自身の免疫の有無が気になる方は、採血検査での麻疹の抗体価のチェックをご検討ください。

ただワクチンの供給は限られているため、免疫のない小児の方への定期接種が最優先とされています。

当院にも備蓄はなく、抗体価が低い患者様がいらっしゃったとしても直ぐにワクチンを打つことはできず、都度ワクチンの卸販売業者の方に問い合わせる方針です。

宜しくお願い致します。

脇内科クリニック    脇 広昂

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